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武蔵大学合唱団リーデルクランツOB総会報告
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それぞれの43定
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お待ちかねの川島さんからレポートが寄せられました。今回は長文です。(メール配信では字数制限のある端末もありますことから2回に分けて配信しました。)
また、皆さんからの感想も募集しています。ステージに立たれた方、聴きに来られた方、参加することが出来なかった方など、それぞれの立場からのご感想をぜひお寄せくさい。
定演レポート
12代 川島 靖之
ありゃ?「リーデルクランツ通信」はもう終刊になったのでは?・・・ってな訳は無いのですよ。演奏会当日のレポートを書かない事には始まらない・・・、じゃなかった、終わらない。次回の練習は「当面」無いし、書く時間はたっぷりある・・・と高をくくっていたら、ケンちゃんから素晴らしい原稿が寄せられて来ました。全く、リーデルクランツは「歌唱力より文章力」で勝負・・・なんて事は無いよね!で、慌てて執筆した次第。お粗末。と言う事で、引き続きお付き合いの程、宜しくお願い致します。
話しは最後の練習日、11月21日に遡ります。練習終了後、折り良く講堂の正面入り口を確認し、私は「リーデルクランツ通信」原稿執筆のため帰宅、で、残ったメンバーは不届きにも「液体燃料補給」に向かったクダリは「終刊号」に書かれている通りです。で、同夜19:44にメンバーから打合せ内容の確認メールを受信(補足説明ですが、矢澤さんが関係者のアドレスをメーリングリスト化してくれたお陰で、一斉受発信が可能となっております)。その後、20:04に私から「リーデルクランツ通信」原稿を配信。で、私はここで夕食をとり(実はここで「液体燃料」を補給しました。が・・・)、その後、「練習ノート」を作成。これを23:23に各パートリーダーに配信。この間に3件のメールを受信。日が変わってからもメールは飛び交い続け、一旦、途絶えたのは2:56から5:52の3時間。ここからメールの嵐が再開して、22日の23:23(奇しくも私が「練習ノート」を配信したピッタリ24時間後)までに33件を送受信。これに一般のメンバーの方からの「明日宜しく」メールのやり取りがあったりして、合計約40件と言う数になりました。この日は月曜日ですので、皆さん、仕事そっちのけで演奏会準備のメール会議を19時間ぶっ通しでやっていたようなものです。凄いパワーです。これは是非、歴史に残しておきたいと思い、少々細かくなりましたが書き連ねた次第です。
いよいよ演奏会当日を迎える訳ですが、一発目のメールは大内さんから。6:10です。まあ、皆さん、いつ寝てるんでしょうね?でもって、何でも息子さんをUSTREAM中継のアシスタントに使うとか。なるほど、そう言う手もある訳ね・・・って、感心します。
私は10:30、多少、雨の残る天候のなか家を出ます。電車の中では愛用のウォークマンで『志村版』「土の歌」を聴きながら、最終確認。今日は乗換えの関係で有楽町線経由、新桜台から大学に向かいます。既に雨は上がってますが空は曇っております。大学正門横にはリーデルクランツ第43回定期演奏会の立て看板が。でも江古田駅から歩いてくると見えづらい位置だなー、などと考える。講堂を正面に見て、黄色に色付いた銀杏の落葉を踏みしめながら集合場所の10号館3階に向かいますと、既にかなりの方が集まっておられます。ここでステージの立ち位置通りに隊列を組んで講堂に向かうと言う寸法です。残念ながら講堂の舞台袖はスペースが僅少でフルメンバーが入る事は不可能ですので、講堂横(旧学館側)の扉から入場すると言う、いささか変てこなスタイルを取らざるを得ません。まあ、音楽で勝負すれば良い事、大した問題ではありません。ステージに上がりますと、普段は使われていないサイドからの照明が照らされ、若干まぶしいものの「本番」の高揚感が醸成されて参ります。
いよいよ最後の練習。全曲を通しての確認となります。何度も書きますが、本当に講堂の音響は素晴らしい。けど、遮音が悪いのが弱点で、静かな部分で救急車が走りはしないか、それだけが心配ではあります。まあ、ウィーンのムジークフェラインザールでも市電が走り始めた頃、遮音の問題が持ち上がり、当時、ウィーンフィル主席指揮者だったグスタフ・マーラーが怒って電車を止めようとしたなどと言う逸話を聞いたことがあります。我が武蔵大学講堂もこの面でムジークフェラインザール並だ!!!と言う事にしておきましょう。さて、問題の「ボロピアノ」の修理結果に就きましては、残念ながらダメはダメなままだったと言う事になります。確かに「見栄え」は良くなったとか、調律したのでその面での改善はありますが、そんなの当たり前ですよね。暫定のヤマハにしとけば良かった・・・後悔先に立たず。でも今日は素晴らしいことが一つあります。譜めくりをして頂けるのは、何と東混ソプラノのパートマスター、加藤先生!!!こんな方に譜めくりして頂けるとは、何てリーデルクランツは贅沢な・・・ってー事で一気に気を取り直して合唱に専念します。志村先生は「3時間後にベストとなるように、今は頑張り過ぎないように」って言われます。「祖国の土」とか「天地の怒り」とか、つい暴走しがちになる楽章は特に要注意です。個人的な問題箇所は全てクリアー(声が思った通りに出ないとか、ブレスが続かないと言う問題は別として)出来た事を確認し、ゲネプロを終了します。外は朝方の悪天候が信じられないような晴天に。雨に濡れた落葉に木漏れ日が差し込み、とても綺麗です。
控え室はいつもの10号館3階。ここでコンビニで買ってきたお握りを昼食としてかっ込み、志村先生の指導で最後の発声練習。この時、既に講堂は開場して、お客様が三々五々集まり始めている筈。現役諸君は第一、第二ステージに向かい、我々OB・OGは客席に移動します。始めは信長貴富 作曲「旅のかなたに」。この曲は今年6月の虹の会 第37回定期演奏会でも取り上げた曲で、一段の完成度の高さを狙ったものと思います。これについては「リーデルクランツ通信 No.7」にアルト・パートリーダーの筒井さんが10月31日の現役練習を見学された際のレポートがアップされてますのでご参照頂きたいのですが、この難曲を6人で取組む姿勢には大変な意気込みを感じます。若干のインターバルをおいて、第二ステージはEnglish Songs + 1。「+ 1」とは何じゃらほい?と思っておりましたら、志村先生がステージ上から説明して下さいます。曰く「昨年、インフルエンザでソロがダウンし、演奏できなかったことへのリベンジ」との事です。曲はカッチーニ作曲(実は40年ほど前に旧ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフが作曲した作品)アヴェ・マリア。ソプラノのソロが美しい曲です。もっともリーデルクランツ現役メンバーは僅か6名ですから、いつも「ソロ」をやっているようなもの。そう言う意味で、馴れたものです。その他の英語の曲の中ではア・カペラで歌われた”The Lion Sleeps Tonight”が出色でした。ポップなノリで、リーデルクランツ現役諸君の新たな一面を見た感じ。自ら音楽を楽しんでいるのが良く解る楽しい演奏です。客席に目を転じますと、広い講堂ですので満席と言う訳には参りませんが、結構な人数の方々がお集まり頂いておられます。その中には懐かしいお顔も。
第二ステージが終了し、ここで20分間の休憩となります。20分って、結構長い感じですが、演奏中は止めてあった例の「うるさくて使えない空調」をこの間に稼動させ、講堂全体を暖めると言う目的があるようです。我々OB・OGも一旦、控え室に再集合し、今日の昼にやった如く、「立ち位置通りに隊列を組んで」いよいよ本番のステージに向かいます。講堂横の扉の前で待つ事少々、志村先生、若月先生、加藤先生がいらっしゃったところで、講堂に入場。会場からは暖かい拍手が沸き起こります。
第一楽章「農夫と土」。ピアノの短い前奏に続く分散和音に乗って4声が歌い始めます。「大曲の導入に相応しい、静かながら感動的な滑り出しです。」でもこの時の音量は練習時より明らかに大きい。デュナーミク1つか2つ大きい感じです。みんな気合が入っているなー、と言うのが第一印象。「ともかくもー」の男声合唱を経て、曲は3拍子の中間部分へ。「くいつき良く、レガートを忘れないで、子音をたてて、フレーズの最後は上に抜けるように!・・・」志村先生の言葉がつぎつぎに脳裏に湧き上がります。テンポプリモの「Ah—」も実に感動的!バス、格好良い!そして「Oo—」のイ長調主和音で静かにこの楽章の幕を閉じます。
第二楽章「祖国の土」は「農夫と土」と同じイ長調ですが、曲調は全く変わります。13小節に及ぶピアノの前奏。ご承知の通り、この曲は本来、最大3管編成のフルオーケストラの楽曲です。で、この部分は低弦と金管群が活躍するところで、それをピアノ一台で再現させると言うのがそもそも無茶な話しです。これはここだけに限った話しでは無く、「土の歌」全体に当てはまる事ですが。それでも若月先生はそんなことものともせず、冴えない楽器をビシビシ鳴らします。これに聞き惚れている訳には行かない。「縦の線をしっかり合わせる事で迫力を出す!」のです。「気の良いオジサン」でもいけない。曲は7小節のピアノの後奏で激しく終わります。
一転、曲は第三楽章「死の灰」となります。へ短調ですが半音進行が多く、調が定まらないことで不安感を醸成するようです。客席の雰囲気も一気に変わった・・・かな?中間部、「文明の不安よ、科学の恥辱よ、文明の不安よ、人知の愚かさよ」が繰り返され、怒りの感情が頂点に達した後、冒頭の半音進行が再現され、ソプラノからバスに繋がるパートソロ。良いですね。で、テンポが一段落ちた後、「先に進めない何か・・・」と志村先生が表現された最終部分を経て、充実した響きのアルトのパートソロで曲は深い闇に包まれるように終わります。何でテノールだけパートソロ無いの?とか言いません。
第四楽章「もぐらもち」。女声合唱は見事に安定してます。24小節の「もぐらもぐら」は凄い迫力でビックラこきますが、次のピアニッシモとのコントラストは鮮明で、企図した通りの効果です。男声合唱はどんなもんですかな?トップは強力メンバー5名編成で臨んだ効果で、迫力充分だったと思いますが、セカンドが3名編成となり、ちょっと寂しかったかな?(反省)
さて、第五楽章「天地の怒り」です。個人的に、歌詞でまごつかないように、楽譜の上段余白にポイントとなる部分を書き出しておきました。この位置ですと歌詞見ながら指揮を見られる。良いアイディアだ!・・・と言いたい所ですが、老眼がままならない。WowWowの連続では走らないように、志村先生の指揮を良く見る。で、中間部のア・カペラ。「一音一音に波が欲しい」と言われました。レントも首尾よく歌えたと思います。で、再び激しい部分に。「子音を立てて、乗り遅れないで、3連符と16分の違いを鮮明に!」最後のGを必死に伸ばして、この楽章を終わります。
第六楽章「地上の祈り」。曲は前の楽章のホ短調からト長調に。女声陣、音取り無しで全く問題無く乗り切ります。板に付いてます。美しいです。本当に!正直、涙が出そう。聞き惚れて危うくテノールの出だし、出損なうところでした。「レガート感を損わないように!」。曲は中間部分、レリジオーゾの4声ハミング+バスによる祈りのパートソロ。この辺りから、「ああ、もうすぐステージ終わってしまう!」と言う悲しみが沸いて来ます。「のだめ」でも千秋がシュトレーゼマンの指揮でラフマニノフを演奏している時、そんな感情を述べる場面が出てきますね。全く同じです。昨年も一昨年も感じましたが、今年は特に悲しい!
最終楽章「大地讃頌」。今まで漫然と歌ってきた「大地讃頌」と今回の演奏の最も異なる点を一つだけ挙げるとすると、それはデュナーミク(ダイナミックレンジ)の弱音への広がりでは無いかと感じます。前の6楽章までで激しい部分は既に有った。この上なく美しい曲も有った。「大地讃頌」が一曲だけで存在するのと異なり、これら既に表現してきたものを踏まえての「大地讃頌」です。従って過度の表現をする必要は既に無く、むしろ静かな、深い感動を表現する曲であると感じます。それが「ピアノ〜ピアニッシモ」に込められているように思います。で、我々の演奏もそのように出来たと思います。感動的です。「母なる大地を、あー。たたえよ大地を、あー」。
会場の皆様もこの感動を分かち合って頂けたと思います。我々は暖かい拍手に包まれ、音楽の余韻に酔いまくっています。先生への花束贈呈。多分、女性から志村先生、男性から若月先生と言う段取りだったと思うのですが・・・。まあ、ここで笑いを取れたというのは結果オーライです。アンコールで、二度目の「大地讃頌」。私には二回この曲を歌いきるパワーは残ってませんでした。二曲目のアンコールは恒例の「武蔵大学賛歌」。次期学指揮の古川君の指揮です。この講堂でこの曲を歌うと言うのは違った意味でまた実に感動的。学長にも聞かせたい・・・って、せっかく感動しているのだから、支援金をせしめようとか言うセコイ話しはしないでおきます。
暖かい拍手を頂き、ステージを降ります。扉から外に出ますと爽やかな晩秋の夕方。皆それぞれに上気した表情。志村先生の目にも感涙(?)が!斯く言う私も、昨年、一昨年を凌ぐ感動とその余韻に酔いしれ、今のところ二日酔いを通り越して三日酔いの状態です。
何度でも繰り返します。毎回、情熱的、かつ丁寧な指導をして下さった志村先生、ボロ楽器と格闘しながらも素晴らしいピアニズムで支えて下さった若月先生にいくら感謝しても感謝しきれないと言う想いです。勿論、聴衆あってのコンサート。貴重な祝日に時間を割いてお出で頂いた数多くの皆様にも感謝しきりです。
この後、去り難い講堂ではありますが、引続いて臨時OB会総会を開催する予定となっておりますので、OB・OG関係者一同、会場となる学食に移動です。
さて、ここまでで、過去の「リーデルクランツ通信」を大幅に凌ぐ文章量となってしまいました。
演奏会に続く臨時OB会総会、レセプション、鳥忠での二次会、更に三次会等々、多分、どなたかがレポートして頂けると思いますので、川島レポートはこの辺で失礼させて頂きたいと思います。ただ一言、レセプションですとか二次会の席で「リーデルクランツ通信読んでるよ!」「毎回楽しみ!」とかお声を掛けて頂き、誠に嬉しい限りです。
「リーデルクランツ通信」のそもそもの主旨である、OB・OGの結集に少しでもお役に立てること、これを引続き考えて行きたいと思います。
川島 靖之
皆さんからの感想を募集しています。ステージに立たれた方、聴きに来られた方、参加することが出来なかった方など、それぞれの立場からのご感想をぜひお寄せくさい。